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◎花粉症とは何か
花粉症 かふんしょう Pollinosis 花粉が原因となっておこる季節的なアレルギー性疾患。
毎年きまった季節に、くしゃみや鼻水がでたり、目がかゆくなる人がいる。このような症状は古代ローマ時代から知られていたが、空中をただよう花粉が原因であることがわかったのは、19世紀にはいってからで、日本でこの病気が知られるようになったのは戦後のことである。原因となる花粉にはさまざまなものがあるが、日本ではとくに、スギとブタクサがよく知られている。スギのような樹木の花粉は春先、ブタクサなどの草の花粉は夏の終わりから秋にかけてとぶことが多く、その時期しか発病しない。花粉症は体質として遺伝する傾向がある。
花粉が鼻や目やのどの粘膜につくと、それを抗原として、IgEという抗体ができる。IgE抗体は、特定の細胞(肥満細胞)にくっつくが、この細胞には、炎症をおこすヒスタミンなどの化学伝達物質がつまっている。そこへふたたび同じ抗原である花粉がはいってくると、肥満細胞の膜の上に並んでいるIgE抗体にむすびつく。その刺激によって肥満細胞はこわれ、中からヒスタミンがでてくる。このヒスタミンが、血管や腺を刺激し、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、涙、のどのかゆみ、咳などの症状をおこす。消化器症状や、脱力感、発熱などがみられることもある。花粉症は大気汚染と関係がふかく、汚染のひどい地区では花粉症の発症も多く、逆に汚染されていない地区では発症は少ない。いろいろな調査研究から、最近では、とくに自動車、それもディーゼル車の排気ガスにふくまれる微粒子が、IgE抗体をふやすのではないかという説が有力になっている。
どの植物の花粉が抗原であるかをしらべるには、患者の皮膚にさまざまな花粉のエキスを貼布するパッチテストなどの検査がおこなわれる。皮膚が赤くはれた場合は、その花粉が抗原であることがわかる。
治療は症状に応じて、抗ヒスタミン薬を内服したり、ステロイドなどのスプレー式点鼻薬、目薬をもちいる。花粉の季節がくる前から抗アレルギー薬を内服すると、症状が軽くなる。また、原因をのぞく方法としては、減感作療法をおこなう。これは、抗原となる花粉のエキスを注射するもので、ごく少量からはじめて少しずつ量をふやす。しかし、この方法は2〜3年つづけないと、ある程度の効果があらわれない。
"花粉症" Microsoft(R) Encarta(R)
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